フェネックって?? 

フェネックと暮らしてみたい。そう思ったのはシノブと出会う5〜6年位前になります。 大きい耳とクリクリっとした愛らしい目をした小さい動物、すぐに夢中になりました。
しかし、仙台という地では、ペットショップで見かける事はありませんでした。でも、1度も出会った事のないフェネックを通信販売やネットで買おうとは思いませんでした。 きちんと自分の目でフェネックという動物を確かめてから飼いたいと思っていたからです。

98年に地元のショップでシノブと出会ってからも、小動物の飼育書に1ページも満たない飼育方法しか載っていない、このフェネックという動物にどのように接していけば 良いのか分らず不安もあり、毎日ショップに通いながら悩みました 飼育書に書いてあった事は『飼い易さは、やや難しい。警戒心が強く神経質だが抱けるくらいまで馴らす事も可能。屋外でも飼えるが室内飼いの方が良い。首輪とリード で散歩も可能。ケージの床は金網にしない事(四肢の裏全体が床に触れていないと緊張する為)。トイレの躾は可能。毛は一旦濡れと乾きにくいので注意する。エサは1日 2回ドックフードを主食、副食は野菜・果物・昆虫。繁殖は個人レベルでは難しい。』などでした。

シノブそしてサラと共同生活をするようになった今でも『フェネックって??』って 思うことが沢山あります。そんな事を少しずつ綴ってみようかなぁ〜と思いました

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 フェネックは、犬っぽい?ネコっぽい?
よく『どう云う動物なの?』と上記の様に質問されます。そんな時は「犬と猫をたして2で割った感じ」と答えてしまいます。小型犬位の大きさで、犬の様に走り回り、
時には尻尾をブンブン振って駆け寄って来たり、力強く穴を掘ったり、そうかと思うと猫の様な脚力で高い所に上ったり、綺麗な弧を描くジャンプを見せてくれるます。
甘えてくる時でも、犬の様な一面と猫の様な一面両方兼ね揃えていると思います。
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 フェネックの性格?
一般には、臆病で神経質と言われています。でも人それぞれに個性が有るように、動物にだって個性があります。
大人しい種類の犬と云われているコがやんちゃだったりする様に、フェネックも固体の数だけ性格があります。臆病だと言われても好奇心旺盛なコもいますし、人に対しての警戒心を中々解いてくれない子もいます。気が荒くよく噛むコもいます。
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 フェネックは慣れるの?
『馴れる』という言葉が何処までの範囲を示すのか、その人によっても違うと思いますが、まず、人と長い間歴史を築いて来た犬&猫と違って、まだまだ人との関係が浅い動物であるという事を理解してフェネックと接してほしいと思います。
小動物の飼育書では『フェネックは抱けるまで馴らすのも可能』と書いてあります。実際抱っこされているだけで、かなり緊張するコもいます。ショップで「とても良く馴れますよ」と言われてもそれを鵜呑みにしない方がいいと思います。いや、しないでください。
ワイルド固体とブリード固体があり、一般的にワイルド固体は慣れにくく、ブリード固体は馴れやすいといわれていますが、ブリードのコでも育った環境や性格で違ってくると思います。

我が家の場合でいえば、シノブは撫でてもらったりお腹を触らせたり、人の膝に乗って来るくらい馴れていますが、サラは人を怖がらなくなるまで1年掛かりました、今でも人の側にピタっとくっ付いてくる割には人に撫でられるはあまり好きではない様です。でも2匹とも名前を呼ばれれば振り向き、庭に出ている時等は部屋に戻ってきます。
フェネックは飼われている環境の中で自分を中心に順位付けをしている様なので、それによっての馴れ方の違いもあるかもしれません。
『可愛いから飼ったけど2〜3ヶ月たってもちっとも馴れない』などと短期間で決め付けないで、気長にフェネックとの共同生活をしてみてください。

一緒に生活していても、馴れるまで時間の掛かるコが多いフェネックです、一緒に生活している人に対しては気を許しているフェネックでも、来客など初対面の人は彼らのテリトリー
では、さわる事が出来ないと思います。自分のテリトリーに知らない人(侵入者)が入ってくると普段以上に警戒します。
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 フェネックは吠えるの?
飼育書には『普段は鳴声をあげる事は無く、警戒して犬の様になく事もある』と書かれてありましたが、我が家では結構、「ミァ〜ミャ〜」「キャンキャン」(←適切な表現かはさておき)と尻尾を振りながら言っています。また、寝ている時に近づこうものなら、知らない人が聞いたら虐めているのではないかと思うくらい「ギャーギャー」言います。犬の様になく時の声(警戒)は、少しこもった声で「ゥワァン」って感じに吠えます。知らない人には喉の奥でうなったりのします。その他には、コオロギの様な小鳥の様なもしくはベルの様な「コロコロコロ〜」と云うか「ウココココ〜」と言うなき方もします、今の音は何?って思うくらい不思議な声です。
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 フェネックは噛むの?
フェネックは噛みます。動物にだって感情があります、嫌な事をされたと思ったら本気で噛み付きます(あたり前ですけど)。じゃれてアマ噛みもしますが、本気になって噛まれると小さくて鋭い歯なので、犬歯で穴があき、噛まれた事にビックリして急に手を引いたりすると流血します。
フェネックはチャーミング行動をするので[チャーミング行動とは狩りをする時に奇妙な踊りをしたり、仰向けに転げまわって、相手に好意的な態度を見せて魅了したり油断させたりして獲物を捕まえる行動と言われています]そんな時に「あら可愛い!!」と思って手を出すと噛まれる事もあります。また順位付けをするので馴れと同様に格下に見られると噛まれる事も多くなります
我が家ではオスの方がメスよりも体が大きくしっかりしているので、噛む力も強いです。
初対面の人が可愛いからと手を出すと、テリトリーの侵入者への警戒心からも噛みますので、気をつけた方がいいと思います。
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 外でも飼えるの?
砂漠に生息しているフェネックは、湿気と寒さが苦手です。日本でのフェネックオーナーさんはほとんど室内飼いです。室外で飼うとなると、フェネックの跳躍力でも飛び越える事が出来ない、深い穴を掘っても脱走する事ができない様なフェンスで囲う事か、獣舎を作るかしないと難しいと思います
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 室内飼なら首輪・リードは?
フェネックを室内で飼う場合は首輪もリード無しでも大丈夫だと思います。しかし病院など外出する場合の事を考えるとリードには慣れされ方が良いと思います。
フェネックは野生動物だという事を忘れないで下さい。キャリーに入れるとしても(我家では暴れて中々入れられないのですが…)リードなして外出するのは、フェネックに脱走していいよ!って言っている様なものです。一度逃げたフェネックが自宅に戻って来る事はありません。
 放飼いで注意する事は?
フェネックは目に付く気に入ったものは、何でもおもちゃにして遊びます。遊びながら食べてしまう事もあるので危険な物を取り除いください。跳躍力もありますので、棚の上なので大丈夫という油断も禁物です。放飼いにしている時でも目を離したすきに電気コードを齧ったり、プラグを抜こうとしたりするので、目の届く範囲で遊ばせてください。
我家では、ごみ箱をあさるので部屋からごみ箱を撤去しました。目を放した隙に風呂場で石鹸を齧っていた事もありました。なにかあってからでは遅いので、遊ばせる前には周囲を確認してください。
フェネックに初対面の人が遊びに来る場合には、放飼いは避け、ケージに入れるかリードでつないでおいた方が良いと思います。前にも述べましたが、テリトリーの侵入者を警戒して噛みに来る事もあります。
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 夜行性のフェネックの夜はどうなの?
夜は周りが静かな分だけフェネックの活動音が耳に付きます。我家では、フェネックの居るリビングと寝室が離れているのですが、午前2時過ぎると時折ケージの中で新聞紙をぐちゃぐちゃにしている音が聞こえます。
昔何度か寝室で一緒に寝れるか試みた事がありますが、布団の上で遊び飽きると、アマ噛みしたり、枕を掘っって人を起こそうしました。そして布団を噛んで食べてしまい、次の日ゲポするので、寝室で一緒に夜を過すのはあきらめました。(でも大人しくしているフェネックもいると思います)
フェネックは夜行性ですが、昼間は寝たり起きたりしています。我家では平日の日中は人が居ないのでずっと寝ているのだと思いますが、休日の日中は庭で日向ぼっこをしたり、一緒に遊んだりします。元気よく遊ぶ事が多いのは午前中で、午後は声をかけてもほとんど寝ています。
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 フェネックは臭うの?
我が家では、フェネックに対して、犬の様に体臭を感じた事は特にありません。だだフェネックの尻尾の付根の毛が黒くなっている処(臭腺orスミレ腺)からいくらか独特の匂いがしますが、不快な匂いではありません(私にとってはネ!)  余談ですが、イラストを描くときいつもココをハートで描いちゃいます
排泄物の臭いも、マーキングも猫の様にくさいと感じた事はあまりありません(与えるエサの内容にもよると思いますが)勿論、う@ちを踏んだりすると臭いのカプセルがはじけるので臭いますが、糞尿の後始末をコマめにしていれば臭いという事は少ないと思います。
 トイレの躾は出来るの?
飼育書ではトイレの躾は可能と書かれています。
我家ではケージの中ではだいたいトイレにしますが、部屋に放すとケージに戻ってまでのトイレは覚える事が出来ません。フェネックと接する時間がもっと多ければ(もう少しは?)躾る事ができるのかも?しれませんが、フェネックと私との根競べです。オスはマーキングをするのですが、それらを含めて覚えさえる事はなかなか難しいと思います。
トイレの躾が完全でないので、ペットの消臭スプレー&トイレットペーパーはかかせません。
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 他の動物と飼えるの?
私はオウムを飼ってますが他の哺乳類を飼っていないので、フェネックが他の動物と仲良くできるのかどうか解りません。
犬や猫やフェレットと一緒に飼っていらっしゃる方もいるので飼い方や飼うタイミングなどで一緒に育てる事はできると思います。でも、フェネック同士でも相性があり一緒に遊べない場合もありますし、他の動物同士で焼もちを焼いたりする事もあると思います。
フェネックにとってエサにしか見えない動物はもちろんフェネックから隔離した方がいいと思います。我家のオウムは普段はフェネックが上れない出窓の上にいます。
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 フェネックの輸入は大丈夫なの?
現在フェネックはワシイトン条約で保護されています。
ワシントン条約とは、絶滅の恐れがある野生動植物を保護することを目的で制定された国際保護条約の事で、正式名称は『絶滅の恐れがある野生動物の国際取引に関する条約 (Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Faunaand Flora)』でその頭文字をとって『サイテス(CITES)』と呼ばれており、保存要求が高い順に付属書T、U、V、に分けられ国際取引の規制が行われています。

CITEST:絶滅の恐れがある種(商業目的の取引禁止、学術目的の輸出入に関しては、輸出入許可書が必要)
CITESU:取引を規制しなければ絶滅の恐れがある種(輸集入に関しては、輸出国の許可書が必要)
CITESV:条約締国が自国の規制の必要性の上で取引の取締りの為に他国の協力を必要としている種(輸出入に関しては輸出許可と原産地証明書が必要。同じ種でも原産地の異なる物は規制を受けていない事もある。

フェネックは現在は、上記のCITESUに属しています。(ちなみに我家のオウムのキバタンも、オオバタンはT、その他のオウム全種はU、という事でフェネックと同じです)
日本はペット輸入大国で、色々な動物が輸入されて店頭に並んでいます。珍しくて可愛いい動物が、人気が出て来ると急にショップに出回ったりする事も珍しい光景ではないと
思います。そのせいか日本人は保護動物に対する危機感が薄いと思います(もちろん私を含めてですけど。。。) 条約で守られている動物を飼う以上、内容を理解して保護保存
する位の気持ちで育てなければいけないと思います。
付属書は、2年ごとに開催される条約締約国会議で話し合われるので、その時にどの様に改正されるか解りませんが、彼らの生息地が年々少なくなっている事も頭に入れておかなければいけないと思います
ワシントン条約以外にも、日本の感染症法の改正で輸入禁止になった動物もいます。フェネックに限ってそんな事は。。って思いたいです。
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 ペアで飼えば子供は生まれるの?
飼育書では個人レベルの繁殖は難しいと書いてありますが、りっぱに子フェネックを育て上げているフェネックペア、オーナーさん達もいます。そして増えてきていると思います。

フェネックの交尾は時間が長く、お尻がくっ付いた状態(我家では未確認なので解りませんが…)になると云われていますが、イヌの交尾と同じなのかなぁ?と思います
イヌの交尾は、犬の雄には陰茎の根元に亀頭球というのがあり、交尾の時に雌の膣内で雄の亀頭球が膨らみ、刺激を受けた雌の膣が収縮する為に抜けなくなり、射精して交尾が完全に終了するまで、お尻とお尻を合わせている状態(ロッキング)になります。フェネックの雄には犬と同じで亀頭球があるんでしょうか?(見た目では確認できませんが、もしもシノブが触らせてくれれば確認してみたいと思います
フェネック同士の相性もあると思いますので、ペアで飼育しているからと言って必ずしもペアリングに成功する訳ではないと思います。我家では今だどちらもその気になっていない様でこの件に関しては経験が無いのできちんと書くことができません。
でも、いつかは、CITESUで保護されているフェネックを自分の手でも繁殖という形で保護ができたらいいなぁと思っています。


フェネックを飼うきっかけはどうであれ、飼うからにはフェネックはまだまだ人間と生活する歴史の浅い野生動物だという事をけして忘れてはいけないと思います。
臆病で神経質で気が荒くよく噛むし、ビクビクしてなかなか馴れないかもしれません。トイレも覚えないかもしれません。発情したオスは気が荒く手が付けられないかもしれません。

我家でも、噛まれたり、後を追い掛けながらのマーキングの掃除は日常茶飯事。でも、尾っぽを振って寄ってきたり、話掛けるたびに小首を傾ける仕草をしたり、彼らの表情や仕草にこちらの方が(噛まれると云う事に対しての)学習能力を失ってしまいます。それぐらい彼らの可愛さに魅了されています。

でも、やはり彼らは野性動物です。野生の本能は失ってはいません。私は、彼らの習性を理解して、ペットを飼うというよりも、共同生活を楽しむというという形でフェネックライフを楽しでいきたいと思っています。
また、新たに自分で気付いたり、思ったりした事があったら、その都度更新していきます。



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